明治維新から数年経った春。


「先生、見て」


太郎が半紙に書いた字を手代木に見せた。


「良く書けてるな」


手代木は太郎の頭を撫でた。


太郎は喜んで、また別な字を書き始めた。


手代木は元は京都見回組みの組頭をしていた。


維新後は東京の下町で、寺子屋をやって生活していた。