「黒猫さん?」
「あぁ、カラス君。さっきはごめんね、ありがとう。助かったよ」
黒猫さんにしては珍しい、無理矢理口角を上げた笑いを向けられる。
何か不自然だ。
「黒猫さん、何か先生に言われたの・・・・・?」
俺は、二人が部屋に入っていた時の出来事は知らない。
案の定、黒猫さんは少し反応して、また笑った。
「何も、」
張り付いた髪を手で払い、また、笑う。
あぁ、そう。
黒猫さんが言いたくない事なら聞かない。
無理に聞いたって変だし。
「そう。なら良かったけど」
「うん。ありがとうね、カラス君」
元気の無い笑みを浮かべて、バイトの格好まま、小さめのバッグを肩にかけてふらりと外に出た黒猫さん。
時刻は9時近く。
カラオケのフロントは校長が来たようで、今教師免許を剥奪するか、公に公開するか、などで騒がしい。
俺も質問には答えたから、帰ろうかなと立ち上がったとき。

