「ねぇ」
びくり。
自然と体が反応し、声のする方を見た。
真っ黒な髪、真っ黒な目、真っ黒なパーカに身を包んだいかにもシンプルな格好をした、俺が後をつけていた、
「・・・・・・・・く、」
ろねこさん。
あぁ良かった、やっぱり黒猫さんだった。
じゃなくて。
「何でここに居るの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・たまたま」
寒いのか、ポケットに手を突っ込んだまま俺を見上げた。
(これ、マズくない?)
「こんな所にたまたま来るの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺を見てくるその真っ黒な目を見返す。
大きくて吸い込まれそうなその眼に、俺を咎め立てようとする色は無い。
けど、眼光が鋭くて。

