【短編】通り雨




「おねーさん、起きた?」


…あたしの寝たフリを見破りやがった。

っていうかおねーさんって………


「起きた」

「こんなとこで寝てたら風邪ひくよ?」

「もうひいてる」

「……ふぅん」


そういうとじっとあたしを見つめる男に、あたしは声をかけた。


「なんで離れないの?」

「こんないい女おいてけぼりにできないでしょ。俺いー男だからぁ」

「あっそ。あいにくあたしは今男不信だから口説いたって何も出てこないよ」

「えー、そんな露出多い服着てびしょ濡れの女が?」

「……濡れたくて濡れたわけじゃないし、露出多いのだって…」


『昨日彼氏に会ったから』

続けられなかった。

こんな悲惨な女だって思われたくないし。