【短編】通り雨




「……わかった」


そう言うと、あたしの上が軽くなった。

そして携帯をいじり始めた隼人。


「……何してんの?」

「莉緒が好きって証明しようかと思って」


口の端をにっと上げて携帯を耳に当てて、そのままあたしに近付く。


「ちょっ…何?」


口に人差し指を当てて、あたしに静かにするよう促す。

ピタッとあたしの左耳に携帯を当てた。

簡単に言えば、あたしの左耳と隼人の右耳の間に携帯があるって状況。


なかなか近いんだけど……っ。


『…もしもし?隼人?』

「うん。ちょっと話あって」


女の人の声が携帯から聞こえる。

それだけで嫌になるあたしは重症。


『隼人からって珍しいわね』

「うん。あのさ、はっきり言うけど」


そこであたしを見つめる隼人。


“好きな奴ができたから”とか言うの?

“だから別れて”みたいな?


……それはそれで嬉しいけど。

でも信じられるかな…