【短編】通り雨




「おねーさんじゃなくて莉緒。年は22」

「ならおねーさんじゃん」

「なんか嫌っ!莉緒って呼んで」

「りょーかい」


敬礼のポーズをわざとらしくする隼人。

少しいい雰囲気になった所なのに……


─…~♪♪~~♪


「……あ、お風呂沸いたよ」

「……はい」


もうっ!
空気を読まない軽い電子音が響いて、あたしはバタバタとお風呂場へ向かった。


「……あ!莉緒っ」

「何?」


あと少しで脱ぐ、というところでガラッとドアを開ける隼人。


「ごめんけど…下着の替えはないんだよね。だから…その……」

「……今着てるやつ着ればいい?」

「それじゃ風邪ひくだろ?」


……だったらどうしろというのか。

あたしだって替えなんて持ち歩いてないし。