「……あ、おかあさーん!雨降ってきたっ」

「あら、大変っ!あの屋根のとこ行きましょ」


手を繋いで、閉店してしまっている商店のさびれた屋根の下へ走る親子。


「やだ!お気に入りの服が濡れちゃう!!」

「とりあえずコレ被っとけ!」


ひとつのタオルを二人で被るカップルは、そのままアーケードの方へ走り去った。



周りが突然の雨に焦って走り回る中、傘もささずに一人で歩く。

こんなの…通り雨だし。

すぐ止むでしょ……


それに…あたしが濡れて風邪をひいたからといって心配する人なんていないんだから。