いつも苦しくて。息が詰まりそうで。頭痛がひどくて。

「学校に行きたくない」と初めて母親に言ったら、

「最近、成績良くないんだから、もっと頑張りなさい」

と言われて。

「昔はあんなに頑張っていたじゃないか。そうだ、来月から塾にでも行くか?」

なんて父親も言い出して。

わたしは、この人たちに頼るのをやめた。

誰にも助けてもらえなくて。誰にも相談できなくて。

わたしが苦しんでいることを伝えられなくて。解ってもらえなくて。

生きているのが面倒で。

何かに期待することが馬鹿らしくて。

ただただ、毎日がわたしを追い越していって。

そんな日々。そんな人生。

色を失って、意味を亡くした、そんなわたしの、どうでもいい毎日。

今も歩いている。黙々と歩いている。

俯いたまま、顔を上げずに歩いている。

学校という名の地獄へ向かう道を。

前から来た自転車にぶつかりそうになって。乗っているおじさんに「気をつけろ!」なんて怒鳴られて。

それでも前を見ようなんて思わなくて。

わたしにとって今は、昔の欧州の死刑囚が、ギロチン台に一歩一歩近づいていくのと同じで。

逃れられない運命。あそこに行ったって幸せにはなれない。また嫌な思いをしなきゃならない。

電信柱がぽつぽつ続いていく道。

そういえば、前に住んでいた町は、もっと電信柱があったっけ。

哀れに思うくらい、ここは田舎。

なんでわたしはこんな所にいるんだろう?

答えの無い問いかけ。あったとしても、それは残酷なだけの問いかけ。

わたしがいつものように、真っ黒く塗りつぶされた、鉛を飲み込んだ体で歩いていると。

電信柱の影で、何かが動いた気がした。