何気なくまた聞いてみた。

「その咎を、償わないといけないんでしょ? どうやって?」

除消は、それまでと雰囲気が変わり、声のトーンも変わり。ただでさえ低かった声が重低音となって。

「咎ッテイウノハ、ソレヨリ大キナ咎ガアレバ、帳消シニデキル。咎送リハ、自分以外ノ奴ニ、ヨリ大キナ咎ヲ負ワセ、自分ノ代ワリニ裁カセルッテコトダ」

そう言って、一旦言葉を切った。

咎を帳消しにできる?なんて都合のいい。自分より悪さを働いた奴を差し出せば、許されるなんて。

神様ってずいぶん、甘やかされてるんだ。

……、ふと、除消が、じーっ、とわたしを見つめていることに気がついた。

「咎送リニハ仕来リガアッテナ。下界ニ落トサレタ神ハ、最初ニ出会ッタ生物ニ憑キ、咎ヲ負ワセルンダ」

……、え?

「人間ドモハ死神ッテノガイルト思ッテルンダロ?実際ハ咎負イヲ受ケタ神ガ、下界デ、自分ノ代ワリニ裁カレル生物ニ憑イタッテコトダ」

なにを、いっているの?

「ツイデニ言ッテオクガ、咎送リノ対象トナッタ生物ハ、咎負イヲ受ケタ神ノ分マデ『背負ウ』コトニナルカラ、確実ニ、地獄ニ堕チルコトニナルガナ」

……そんな、まさか。

「わたしに……、その、咎を、負えっていうの?」

「物分リガ良クテ助カルゼ、クキャキャキャ」

除消は真ん丸な頭を激しく揺らし、灰色に染められた破顔を向ける。

「な、なんで、わたしがっ」

「言ッタロ。最初ニ会ッタ生キ物ニ憑キ、咎ヲ負ワセルノガ仕来リダ」

事も無げに、あっさりと、除消は言った。

つまり、こういうこと?

この除消という神様は、上界へ戻るため、咎送りの「獲物」を探し、そこで運悪く、わたしが捕まってしまった。

わたしは、除消が負った咎を超える咎……、罪を行い、除消の咎を帳消しにしてあげなければならない。

しかも、わたしはその咎の所為で、地獄に堕ちる。