「俺ノ名ハ除消(じょしょう)。サッサト済マシテエカラ、黙ッテ聞イテロヨ、小娘。」

立ち入り禁止と書かれた看板を無視して入った、鬱蒼と雑草が生い茂る空き地。

少し前に、スーパーを潰して作られたこの場所。町のことに興味がないから、次に何が建つのかなんて知らないけど。

人目に付かない場所というのは、捜すとなかなか見つからなかった。仕方なく、通学路を大幅に外れて、郊外まで来てしまった。

それもこれも、除消と名乗った「こいつ」が、おかしなことを言うから。

だから、話を聞きたくなってしまった。今は、凄く、後悔しているけど……。

やっぱり、逃げておけばよかった。

「俺ハ『咎負イ』ニ遭ッテ、下界ニ降リテキタ。上界ヘ戻ルニハ、『咎送リ』ヲシナキャナラネエ。協力シロ」

「……、は?」

何を言っているのか、さっぱり解らない。

どうやら、この除消という神様?は、親切とか、真心とか、そういうのを知らないみたい。

要領を得ない、という顔でキョトンとしていると。

しびれを切らした風に、さも手間のかかる小娘だと言わんばかりに、除消の補足説明が始まった。

「咎ッテエノハ、分カルヨナ?」

ぶんぶんぶん。

大きく首を横に振る。

……、

チッ。

あ、舌打ちした。