この手紙のなかでだけ、あたしの本音を訊いてください。 あたしの全ては、由衣でした。 17年間の全てでした。 だから、綺麗なあたししか、見せたくありませんでした。 連絡を断ったのはそんな理由があったからです。 貴方の記憶のなかでだけでも、綺麗でいたかった。 貴方に軽蔑されたくなかった。 貴方に弱音を吐きたくなかった。 毎日、貴方からの留守電を聞くたびに、辛かった。 何度も電話をかけそうになったわ。