二人が目を覚ましたのは夜になってからだった。

きちんと服は着ていたものの、隣で眠っているのにお互い焦った。

「ごめんッ!」

慎吾が夢中で頭を下げるのに、美佳は後悔した。

「いやいや、謝らんで。うちこそごめん。余計なこと言ったせいじゃね。大丈夫・・・?」

「ああああ、まじごめん! どうしよう!」

「大丈夫、大丈夫。何もなかったことに・・・できるよね?」

慎吾は二回頷いた。

誰にも打ち明けず、忘れよう。変わらずそれぞれの生活を続けよう。
かたく約束した。

慎吾の家族に一声かけて、そこを後にする。
大分遅くなってしまった。

りおんに電話しながら家路を急いだ。

揺れるエメラルドのストラップは、なんだか淋しそうだった。


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