響の部屋の中。


ドキドキするんだけど…


紅茶を一口飲んで落ち着かせる。


ゴクン…



響の口からゆっくりと話が始まる。



「沙来、俺の親さ…会社経営してるんだ。ま、社長と専務ってヤツで…」



「だから家はこうだし、誰もいない。俺が小さい頃からずっと…ずっとー……」



響は部屋の窓の外を眺めながらそう言った。

寂しい目だった。



「だから、響の家はこんなに大きいんだ!あっ、料理が上手なのもそのせい?」


私はいつも響と違うせいか少し明るく言ってみせた。



「そのせいって…まぁな、料理は嫌いでもねぇし」



響は話を続けた…



親との思い出はほとんどない事。

家にいつも一人でご飯食べてた事。

欲しいモノは全て買い与えてもらった事。


親からの愛情はそこには無かった事。


でもどうにか振り向いて欲しくて何でも頑張ってきた事。




涙が零れそうになった…



「だから俺さ、沙来の家すげぇいいなって思った…俺ん家にはないモノが沢山あふれてる」



「そ…かな」



「だから今もこうして沙来と、一緒に居られるだけで幸せなんだ…」



「…うん私も」



「沙来、話まだあるんだけど…」



「なに?」




さっきの目とはまた違う響…


寂しいのと苦しいのと…


辛そうな目。


でも真剣な目をしてる…




何?…響ー……