「っ!」 「あ、ごめんお兄ちゃん」 声を聞いただけで、体に緊張が走る。 私はゆっくりと顔を動かして、現れた人物を見た。 「…凜、買い物?」 「え…あ、うん」 「そっか…」 「うん…」 気まずい……と感じているのは、私だけではないと思う。 ここ最近、和弥と接点がなかったし。 和弥の姿を見ることも、ましてや声を聞くことさえ久しぶりだ。 「ね、ね、拓海くんと一緒に回っていい?」 「へ?」 「帰りもちゃんと送ってもらうし。ね、拓海くん?」