子供の貯金なんて、大した額でもないし、ましてやお母さんが喜ぶものって何か分からない。
私と拓海はレストランでランチを済ませることにした。
「うーん……。最終手段は…作るか、ケーキ」
「俺、料理できない」
「バカ。私だって料理ほとんどダメだって」
「はぁ…、なんかプレゼントって難しいな~」
うなだれる二人の間に、注文した料理が運ばれてきた。
朝ごはんを抜いたせいか、拓海の食欲がいつも以上だ。
「つーかさ…」
「ん?」
「俺とじゃなくて、あの人と来れば良かったんじゃねーの?」
「あの人って?」
「や、だから麻衣のお兄さん」


