―――『去年は…まぁ聖剛とぶらぶらしてたな、多分』 聖剛さんとクリスマス過ごしたって言ってたの。 あれ、嘘だったんだ。 それに、菫さんには夜龍のことも話してるんだね。 そうか…そうだよね。 別に私なんかに本当のこと言わなくったっていいもんね。 こんなに素敵な婚約者がいるんなら。 「じゃあ、この辺で。今日は付き合ってくれてありがとうね」 「いえ…こちらこそ」 しばらく話して、菫さんは帰っていった。 でも私は、なかなか動くことができなくて、じっと座ったままだった。