驚いて振り返ると、声の主にさらに驚いた。
な、なんで……―――。
「………」
「…………すみれ、さん」
そう、私の目の前には、あの菫さんがいた。
ものすごく神妙な顔をして。
「突然ごめんなさい。…少し、時間いいかしら?」
「え、は、はい。大丈夫、です」
動揺を隠せない私は、片言のような話し方しかできない。
だって、あの菫さんだよ?
和弥の婚約者、だった人。
親同士が決めたと言っても、菫さんは和弥のことが―――。
前を歩く菫さんは、私の方を振り返ることなく進んでいく。
私達はお互い無言のまま、近くのカフェまでやって来た。


