「聖剛さん。私は聖剛さんが好きな人と向き合ってほしい…って言ったんですよ」
「知ってる。……だからこうやって向き合ってるじゃん」
「………」
今までの私だったら、きっと動揺して、焦るだけだったと思う。
もちろん今だって少なからず動揺したけど、自分でも意外なくらい冷静だった。
「聖剛さん、冗談はまじで止めてください」
「…冗談?」
「もし……ここに和弥がいたら、こんな悪ふざけしないですよね」
「………」
まっすぐ聖剛さんを見つめると、聖剛さんも私から目を反らさなかった。
時間にして、おそらく数秒だったけど、何分間も経ったような感覚にとらわれて―――
聖剛さんはゆっくり目を閉じると、まるで観念したかのように溜め息をもらした。


