聖剛さんの表情が一瞬だけ、硬くなった気がした。
でもすぐに口元に笑みを浮かべると、挑発的な目で私を捉えた。
「「………」」
無言でお互いを見る私たちの間に、ピリッとした空気が流れる。
「ね~ぇ!つまんないー!何か喋ってよー!」
そんな空気に耐えきれなかったのか、女の人が聖剛さんのシャツを引っ張った。
「あー、ごめん。凛ちゃんと話があるから、今日は帰って」
「えー?!なんでなんでー?!」
「ごめん、明美(アケミ)。また今度誘うから、絶対」
明美っていうんだ、この人。
聖剛さんの説得に、明美さんは渋々了解して帰っていった。


