「チャラいと分かってて惚れた私も私だけど、あいつもあいつだよ！…～っとに腹立つあの男ー！」
「あ、あの…夏帆」
「あんだけ優しくしたくせに！あんだけ気ぃ持たせたくせに……っ」
「…夏帆…？」
「なのにっ…なのにぃ……そんな男に今でも惚れてる自分に一番腹立つ……っ」
涙ぐみながら顔を真っ赤にする夏帆。
「夏帆…」
普段は弱気な姿を見せることなんて、ほとんどない。
どちらかと言うとお姉さんみたいな存在なのに、今日はすごく小さく見える。
「夏帆…。聖剛さんのこと、大好きだね」
私がそう言うと、夏帆は目線を合わせずに小さく頷いた。
