悔しくなった私は、和弥のシャツを掴んで、
「っ!?」
「好きだ、ばか!」
少しだけ背伸びをして、自分からキスをした。
私からの不意打ちに、和弥は顔を赤くする。
そんな和弥を見て、私はベーっと舌を出した。
「…りっ、おま…」
「私をバカにするなんて、百年早い」
私の照れ隠しに、和弥は整った顔をまたくしゃっと綻ばせて―――
私達は正面に向かい合って、お互いに見つめ合った。
「村上凛さん、俺と付き合って下さい」
今までで、一番ドキドキした瞬間だった。
「和弥の彼女になりたいです」
真夏の暑苦しい倉庫の中――。
赤い顔を向かい合わせて、笑い合った。
自然とお互いの距離が近くなって、私達は何度目かも分からないキスをした。


