「凛に出会って、凛のことしか考えらんなくなった」 和弥は私をまっすぐ見つめると、そう言った。 また、心臓がうるさくなる。 「だから菫は、もう婚約者じゃない」 「………」 「昔も今も、菫はダチって感じだし、好きって感情はない」 「………」 言葉が出てこなかった。 驚きと、嬉しさと、恥ずかしさ――― とにかく色んな感情がごちゃ混ぜになって、何を言えばいいのか分からなかった。 戸惑う私の頬に、和弥はそっと触れた。 「……好きだ」 「…っ」 「俺は、凛が好きだ」