「で?」 「え?」 「凛はどうしたいの?」 優しい―――でも真っ直ぐに私を見つめる綾さん。 私は何も言えなくなって、視線を下へずらした。 「夜に暴れて、夏帆とも喧嘩して…」 「………」 「それで気は済んだの?」 「………」 済んでない。 済んでないよ。 私は無言で首を横に振った。 「じゃあ…このままで、好きな人のこと、忘れられる?」 忘れられる…? 和弥のこと…… 忘れないといけない。和弥を見ても、和弥と会っても普通でいられるように。