「………り、ん」 目を見開いた和弥は、聞こえるか聞こえないかの小さな声で―――。 だけど、確実に私の名前を呼んだ。 「えっ…凛、さん?」 「………」 菫さんはそこで初めて私があの凛だと認識したようだったけど、私は言葉が出なかった。 改めて和弥と菫さんが二人でいるところを見て、思ってしまったから。 ―――お似合いだって。 私はただ和弥を見つめるだけで、和弥もまた私を見つめていた。 そしてその視線が私から生嶋に移ると、わずかに顔を歪めた。