バランスを崩した女の人も、なんとか私に支えられて転ぶことなく体勢を保っていた。 「本当にすみませんでした」 「いえ、私も下駄は履き慣れてな………っ」 私は固まった。 頭を下げて謝る女の人が、顔を上げた瞬間。 できれば会いたくない人が、目の前にいた。 「…す、みれさん……」 「えっ?」 「…っ」 ドクンドクンと心臓がうるさい。 だって、菫さんがここにいるということは―――