呼び止められて、お母さんの方へ振り返る。 「お母さん?」 「…ううん、何でもない。じゃ!行ってらっしゃい!」 「……うん」 一瞬だったけど、困ったような表情をしたお母さん。 何となく… 何となくだけど、お母さんの言いたいことは分かった気がした。 「行ってきまーす」 お母さんの視線を感じながら私は玄関を出た。 ―――誰と一緒に行くのか…。 多分、お母さんはそれが気になったんじゃないかな。