「花火だけ見に行きたいけど…。お父さん、まだ帰ってきてないしね」
「せっかくの祭なのに、休日出勤なんて災難だー…」
「本当よ。今度、本部長さん脅してみようかしら…ふふっ」
「………」
本気とも冗談ともとれるお母さんの笑顔に、言葉が出なかった。
……お母さんなら、本気でやりかねないよ。
お母さんと雑談していると、私の携帯が振動した。
メールだ。
送り主は生嶋で、家の近くまで来たという内容だった。
『了解』と返信して、私は立ち上がった。
「お母さん、そろそろ行くわ」
「はーい、気をつけてね」
「はいはーい」
「…あっ、凛……」
「ん?」


