控えめに…核心をついた夏帆に、私は小さく頷いた。
「なっ…なんでっ…」
「…いいの」
「いいって…なにがいいのよ」
「私に和弥はもったいないし。それに…」
「…それに?」
―――『和弥にはちゃんと菫さんっていう相手がいるから』
私は言葉を押し込んで、にっこりと笑った。
「それに…そこまで好きじゃなかったんだよ、和弥のこと」
「…凜」
「あ、でも浴衣は買いに行くよ?私にだって、行く相手ができるかもしんないしさっ!」
「………」
夏帆は納得した表情はしなかったけど、それ以上は何も言わなかった。
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