トリプルトラブル【完】

 「何だパパか」
美紀は正樹の気配に気付きながらも、当てが外れたらしくふてくされるように言った。


「何とは何だよ」

格好が付かないのか、顔を膨らませる正樹。

気まずかった。
娘に見とれる親父の姿を見透かされたかと思った。

正樹はまだ動揺していたのだった。


「違うの。兄貴達今日から朝練三十分早いんだって。今年こそ、甲子園を目指そうって。それなのに」

美紀はヤバイと思ったのか、言葉を足した。

でも、美紀の話が終わるか終わらないかのうちに、正樹は勢い良く二階に駆け上がっていた。




其処にいることが何となく照れくさかった。

だから正樹は逃げ出したのだった。

正樹はドギマギしていた。

その感情が何なのかは解らない。

でも確実に、美紀を女性として見ていた。

正樹はそれに気付いて焦ったのたのだった。