仏間に入った美紀は先ず、形見のラケットを珠希に返した。
その後で備えられていた陶磁器の花瓶を手に取って、玄関の近くにある花壇に向かった。


隣接している水道の可愛い小鳥の蛇口を捻り、バケツに水を汲む。

花瓶に元々あった花をこの中に入れ、水切りをした後殆ど花のみにして水盤に浮かべて玄関に飾った。

その後花瓶を洗い流して花壇に向き合った。




美紀は此処からチューリップを数本選んで花瓶にさした。


この花壇はホワイトデーに、バレンタインデーのお返しとして、正樹が中心となって作ったものだった。

今まであった小さな花壇。
美紀が矢車草の種を蒔いた花壇の外側に。


今は美紀が中心となり育てている花壇。
どうしても、珠希の好きな花の種や球根ばかり蒔いてしまう美紀だった。