トリプルトラブル【完】

 「直樹わりー。もう少し付き合ってくれ」
秀樹はそう言うと、子供の頃二人で遊んでいたキャッチボールの始めた。


(――最初はグラブなんて無かったな。
あれはあれで楽しかった)

グラブを外し、お手玉のようにボールを上に投げては取る秀樹を直樹は首を傾げながら見ていた。


(――もしかしてキャッチボールか?)
直樹はその答えに満足するかのように、身構えた。

何時ボールが飛んで来てもいいようにと思って。




『体に負担のかからない投げ方は、力のロスをなくし、無駄のないフォームを作る事』

以前カーブを教えてくれた前任コーチが言っていた。


(――果たして今、自分に出来ているのか?)

秀樹はもう一度その意味を考えてみようと思った。


(―――力のロスをなくす?
いや、出来てない。
俺の場合無駄に力んでる。

――無駄のないフォームを作る?


――これも駄目だ)

直樹にタイムをかけて一旦マウンドを降りた秀樹。

呼吸を整えてから仕切り直しに又入った。