トリプルトラブル【完】

 雑木林を切り開いて出来た住宅地の隣には、大病院があった。

受け付けは八時半。
治療開始時間は九時からだった。

そのため、其処へ向かう道路は大渋滞になる。

でも賑やかなのはその駐車場までで、住宅地は静かだった。

混雑する朝に別ルートのある地形は、少し遠回りでも早く職場に到着出来る。

珠希はその立地を生かして快適に生活していたのだった。


家族のために生きた珠希。
それは全て、正樹を愛したことから始まった。
珠希は自己犠牲も厭わないほど、夫にゾッコンだったのだ。