トリプルトラブル【完】

 正樹は大阪の美紀の祖父に婚約した旨の報告した。

そう……
これが、もう一つの壁だった。




電話口で祖父が喚いていた。

舌の手術をした祖父は言葉を発しようと必死だった。

それは正樹にも解っていた。
それでも第一番知らせたかったのだ。




――ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴った。

正樹はドアを開けひっくり返った。

其処には大阪の祖父が仁王立ちしていた。


正樹は気を取り直して、まず珠希の仏壇に案内した。

珠希の仏壇に合掌した後、祖父はスケッチブックを取り出した。

それには移動中に書きためたものだった。




――なぜだ!――


――美紀は子供だ――


――美紀を汚すな――


――美紀は宝物だ!――


――美紀は連れて帰る――




祖父の怒りは解る。

自分が同じ立場だったら、きっとこうするだろう。

でもここは絶対に譲れなかった。