高校卒業を間近に控え、美紀は自分の身体の変化に気付いた。
それは運動不足から来る筋肉の衰えだった。


美紀は日曜日に無料のソフトテニスの練習場へ沙耶を誘った。
其処は市の中心部にある神社の裏手にあった。


月曜から金曜の九時から三時まではそれぞれの団体が使用する。
でも土日は解放されていたのだった。
勿論、ネット張りからブラシ掛けライン掃きまで遣らなくてはいけない。
でも一汗掻くにはもってこいだったのだ。


沙耶は美紀とのラリーを通して、珠稀の存在を確かめたくなった。
どんなに追い越そうとしても立ちはだかる壁。
沙耶にとって珠稀はただの姉妹ではない。

憧れの先輩であって、尚且つ恋敵。
最強、最高のライバルだったのだ。