珠希が通った短期大学は、家から自転車で通える距離にあった。

一番近かったのだ。

だから珠希は其処を選んだのだった。

珠希は片時も正樹と離れたく無かったのだった。

その上、正樹との出逢いのきっかけになった大好きなソフトテニスをずっと遣っていける。

だから……
その短大を選んだのだだった。


一途に正樹を愛した珠希。

その限りない愛の炎は……
今娘へと受け継がれようとしていた。

たとえ養女であっても、美紀は珠希の心意気を受け継いだ愛娘だったのだ。


決して派手ではない。

堅実に賢く生きた珠希。


夫である正樹を愛し、子供をこよなく愛す。

それ故に……
その大き過ぎる愛故に……
美紀は到底及ばないと思い込んでいたのだった。


だから余計に正樹の愛を求めた。

叶わぬ夢だと知りながら。


珠希の……
ママの代わりでもいいからと……。


美紀の夢。
それは珠稀の夢の続きを追うこと。

そしてその珠稀の愛した夫、正樹の奥さんになること。


美紀は本当に眞樹を愛していたのだった。