「美紀ー。俺だって抱きたいんだよー!」
やっとの思いで声を絞り出した。


激しい恋の炎に身を焦がしながら、興奮した気持ちを収める。

そんなこと出来っこないと解っている。

でも正樹は遣らなければならなかったのだ。




正樹はその後もっと強く美紀を抱き締めた。


余計辛くなることは解っていた。
でもこうするしか手段はなかった。


それだけで……
これだけで……
美紀が諦めてくれたら……

そんな一途な思いを、正樹はその両腕に込めた。

本当はこの身体で……

美紀を感じていたかった。


愛した珠希の香りが鼻をくすぐる。
そのフェロモンに自分を忘れる。

正樹はその度頭を振った。