突然の美紀の襲来に正樹は驚いて飛び起きた。

美紀の好意は嬉しい。
でもまだその時期ではないと正樹は考えた。


本当はすぐにでも抱きたかった。

亡妻・珠希と同じ香りのする美紀を。




ベッドの脇に脱いであるバスローブを美紀に着せる。
その後……
説得させるために抱き締めながら、欲望と戦った。


正樹の体は燃えていた。
もう耐えられない程煮えたぎっていた。

それを必死に押さえ込む。

それでも駄目で……
それでも無理で……
正樹はとうとう嗚咽を漏らした。


激しい欲念と格闘する。

この苦しみから逃れることが出来るのなら、思い切って美紀を抱こう。

そうも考える。

でもその後で、きっと凄まじい罪悪感に苛まれる。

それは解りきっていた。