トリプルトラブル【完】

 ドアを静かに閉め、施錠する。

美紀は又……
そのまま正樹を見つめた。


ドアからベッドまでが遠く感じる。

もし珠希だったらこうは感じないだろう。
美紀はその時、やはり正樹を愛したのは自分自身だったと思った。

今……
この場に自分が居るのは珠希が導いたからではない。
そう感じた。




思い詰めたように、美紀がベッドへと向かう。

正樹が眠っているダブルベッド。

珠希の香りがする。

美紀は一瞬戸惑った。
今の自分と同じ香り。


次の瞬間。美紀は恥じらいに目覚めた。

それでも愛する気持ちがそれを上回った。


美紀はゆっくりバスローブを脱ぎ、正樹の寝ているベッドに潜り込んだ。