トリプルトラブル【完】

 バレンタインデーの終わらない内に……

バスローブ以外何も身に着けない産まれたままの身体で……


夜こっそり寝室のドアを開ける。

――ガチャ。

そのごく僅かな音に固まる美紀。


気付かれたかと思い、美紀は正樹を見つめた。




正樹はベッドの中にいた。


(――良かった……)
美紀はホッと胸をなで下ろした。


気付かれたらきっとその場で拒否をされる。

美紀はそう思っていた。


正樹が自分を避けれことは当然だと思っていた。

だって正樹は未だに珠希に恋い焦がれているからだから。

でも美紀の体に巣造った珠希の魂が求めている。

正樹の心を求めている。

正樹の身体を求めている。


美紀も沙耶の言葉を鵜呑みにした訳ではない。

でも正樹を思う気持ちは、珠希をも上まっていると感じていた。