トリプルトラブル【完】

 美紀は知っていた。
正樹は部屋に鍵を掛けないことを。

だから決行する。

それは珠希のためだと言うことも解っていた。

魂になってでも添い寝して欲しいほど、正樹は珠希を求めていたのだった。

本当は甘えん坊の正樹。

珠希が恋しかった……


そのために開けている。
それを知りながら……

美紀はどうしても、正樹の傍に行きたかった。

同じベッドで休みたかった。


「ママごめんなさい」

又誤る美紀。


「パパの傍に居たいの。せめて……」

鏡に写る自分の中の珠希に語りかけるように、美紀はそっと微笑みを返した。


「そう……せめてバレンタインデーの内に」