トリプルトラブル【完】

 カプセルホテルの階違いに二つ部屋を取り少し休む事にした二人。

貴重品だけキーボックスに入れ、正樹は鍵のない寝室になだれ込んだ。

よっぽど疲れたのか、戸締まりもしないで深い眠りに落ちていた正樹。


目を覚ますと、横に美紀が眠っていた。


(――美紀……
なんて事を……)

正樹は戸惑っていた。


正樹が眠ってしまったことで不安になったのだろう。
頬には涙の跡があった。

正樹は抱き締めたくなる気持ちを必死に押し殺した。

無防備な美紀を抱くのは簡単だった。

でもそれをすれば、美紀を苦しめる。
美紀を愛している秀樹・直樹・大も苦しめる。

正樹はただ耐えていた。

美紀を深く愛し始めた正樹の選択だった。


『お前らー、まだ美紀はお前らのお母さんじゃないんだぞ』

優勝決定戦の朝の言葉を思い出した。


正樹はその時に気付いたのだ。
本当は美紀を妻として迎えたがっている自分に……

だから尚更苦しいのだ。
だから尚更愛しいのだ。