トリプルトラブル【完】

 直樹は今まで兄である秀樹に振り回されてきた。

野球を始めたのも秀樹の強引の誘いがあったからだ。

本当はサッカーがやりたかった。

ドリブル・リフティング。
一人でも成長出来るスポーツだったから。

でも秀樹はボールを受けるためだけの直樹を離さなかった。
目立ちたがり屋の秀樹がもっと目立つために。

直樹は悩みながら成長してきたのだった。




そして今、最高の舞台に直樹はいた。

美紀を甲子園に、大阪に連れて行くために直樹は集中しようとしていた。


「美紀!」

直樹はありったけの力を込めてスイングした。


「ワーーーー!」

歓声が球場全体を包み込んだ。

直樹は一瞬、我を忘れていた。

慌てて見上げると打球はスタンドに吸い込まれた後だった。