トリプルトラブル【完】

 「コリャー!! 何時まで寝てる!!」

正樹は気持ち良さそうに眠っている秀樹の布団を一気に剥いだ。

悪戯好きの正樹は、平成の小影虎の異名を持つ元プロレスラーだった。

何故そのようなニックネームになったかと言うと、苗字が長尾だったからだ。

オーナーが、上杉謙信のような大物になれと言って、名付けてくれたのだった。

正樹は体は小さいが、パワーはダントツだったのだ。


そんな正樹に叩き起こされたら、幾ら寝坊助の秀樹もひとたまりもなかった。

実はコレがやりたくてワザと先に直樹を追い出したのだった。
正樹はそんな少年の心を持ったまま大人になったような人だった。