トリプルトラブル【完】

 正樹は時間の許す限り、智恵の親探しに没頭した。

あちこちの図書館に行っては、古い新聞を読みあさった。

何とか手掛かりを得ようと必至だったのだ。




ある日正樹は東京駅構内にいた。
智恵が放置され、保護されたコインロッカーは、この駅にあったのだ。

数多くのコインロッカーが、所狭しと設置してある。

当たり前の様に使用する若者達。
もしこの中に乳幼児を捨てようとしている者があったら?そう考えると背筋が寒くなる。

暗闇の中で母を求めて必死に泣き叫んだであろう智恵が哀れでならなかった。