あのアホ上司に口応えができた勇気に賛美を送った。 自分ならどうだったか。 はぁはぁとぺこぺこと頭を下げ、胸の内だけでぶつぶつ言っていただろう。 クビが怖くて返答すらできまい。 どうしたらここまで素直に育ってこれたのか。 『そうですかね………』 あっ?そこで照れる? なぜか今まで感じたことない心臓の鼓動を感じた。 『ありがとうございました。ではそろそろ』 切ろうとする彼女に、追いすがるように大きめの声を出した。 「ああっちょっと待って!」