「何笑ってるんです?性悪先輩」

沖野先輩とは言わず、性悪とわざと言ってみた。
軽く挑発してみたのだ。

「ん?や、ご名答だなーと。確かに、みんな顔だけだよ」

フハッと笑う。
でも一瞬、悲しそうな顔をしたのは見間違いだろうか。

「で、先生に呼ばれたんでしょう?早く行きましょう」

スイッと横切ろうとしたら、これまた笑い出した。

「信じたんだ?」

…待て。よく考えろ零麻。先生が呼ぶなら、多分校舎が広いから放送を流すはず。なのに、先輩に頼むなんて…

「あ…あり得ない…。どこまで性悪なんですか!!私を地獄に落としたいがためにわざわざ教室まで?」

少し怒鳴ってしまった。初めてこんな声を出した。

でも私の怒りなんて気にしてないかのように、逆に私を煽った。