「い…行かないで…ください。」 私は先輩の上着の裾を持って言っていた。 先輩はそんな私を見て、赤い顔をしながら驚いている。 そして優しく笑いながら私の頭をぽんぽんと撫でた。 「そんなこと言うな。俺、我慢できなくなりそうだし。…それにそういうことは樋浦が俺を好きになったらするって決めてるしな」 じゃ、と言って出ていってしまった。 私は緊張の糸が切れたのかその場に座り込んでしまった。 先輩、やっぱり鈍感だ。 私…もう先輩のこと好きです。