そして数分後。
私は身支度をして、少し緊張しながら玄関にいた。
初めての先生の車。
そして長い家までの距離。
体はだるくて重たいはずなのに、そういう考えだけは止まらなかった。
私がうつらうつらとしながら色々な事を考えていると、田渕先生の姿が目の前に現れた。
その瞬間、私は今までの事が全部飛んでいった。
田渕先生はいつもみたいな笑顔で私に手を伸ばしてきた。私はその手をゆっくりと掴んで車に乗った。
先生の車は外から見ると小さく見えたのに、中に入ると思った以上に広かった。
男の人の車にしては綺麗だった。
昔、他の先生に乗せてもらった時は汚くてヒドかったのに、田渕先生の車にゴミ一つない。
田渕先生のイメージとは全然違った。
