でも今日の田渕先生は何故か静かだった。


「…先生?」



私がそう呟くと先生が急に笑った。そして私の隣に来て、窓の外を見つめていた。

私と先生はしばらく沈黙だったけど、先生が先にその沈黙を破った。




「遥香、ご丁寧にありがとう。」


そう言って先生は絆創膏を渡してきた。そして私に一言呟いた。



「…お礼のお手紙ですよ。」

先生は笑顔でそう言い残したまま、教室を出て行った。


私は先生が去った後にもらった絆創膏を見た。そこには私が欲しかった三文字の言葉が書いてあった。



『好きだ』