そして数分後。
私は田渕先生に上着を返してなかったことに気付いた。
先生に上着を返すために職員室に向かったけど、そこに先生は居なかった。
色々な先生に聞いたら女子バスケ部の方に行ったらしい。
体育館を覗くと汗をかいている先生がいた。
何度転んでも起き上がる先生を見ながら、静かに体育館のドアを閉めた。
そしてまた職員室の先生の机に行くと、先生の机の上にあった付箋とペンで小さな手紙を書いた。
『先生へ。
上着ありがとうございました。
それとさっきの三文字が聞き取れなかったんですけど、何て言ったんですか?
遥香より。』
手紙にそった書いた言葉。『お返事くれるのかな』なんて思いながら。
そしてその言葉達を先生の上着のポケットにしまった。
気づかれなくても良い。
でも知りたい事がたくさんある。
不思議な気持ちだった。
